2011/09/01

レビュー(1)

取り敢えず今晩ハッテン!ハッテン!してレビューを幾つか書いたのでそれを。
趣味に淫夢とか書いたけど、アダルトコンテンツはNGだよね…無念。

LisM
GEEE
発売日:2010-03-10

心地いい系、和製エレクトロニカ。ひたすら気分よく目が覚めた早朝の清々しい空気のようなサウンドが流れ続ける。若干アブストラクトな展開はあるものの、基本的に非常に理解しやすい。そしてコンセプトが分かりやすい。こういったエレクトロニカは一定の需要があるようで(特に日本では)、大量に生産されているので、特に目新しい部分のないサウンドを聴き続けるのはちょっとなぁと思う。だから★2個で。

こちら方面での和製エレクトロニカの最高傑作に、SoraのRe.sortがあるが、あれを思わせる水音のサンプリングが用いられているのは○。更に海岸と思しき場所のサンプリングも使われていて良好な感触。もっと大量にフィールドレコーディングなどを投入して、若干でもアブストラクトな展開にしてみたらグッと良くなる、そんな可能性は感じる。

offthesky + darren mcclure
SYMBOLIC INTERACTION
発売日:2009-08-19

Offtheskyとアイルランド出身、長野在住のDarren McClure氏とのコラボレーション。一曲ずつ交互に片方のマテリアルをもう一方が発展させる形でのコラボになっている(恐らく偶数がOffthesky,奇数がMcClureのマテリアル)。

極度のアブストラクトな作品も手がけるOfftheskyだが、ここでは比較的分かりやすいフォークトロニカ風の作風が中心になっている。Darren McClureが導入したと思しき蝉の鳴き声や水音、物音のサンプリングが生々しく、聴覚に心地良い。部分的には先にレビューしたLisMのように和製エレクトロニカのような所もある。

Deadbeat
Agriculture
発売日:2010-03-23

DeadbeatのDJミックスアルバム。Deadbeat本人、Deepchord、Quantec、Monolake、Rhythm & Sound、Intrusion、Mikkel Metal、Maurizio、Substance & Vainqueur、2562と言ったミニマルダブオールスターズとも言える面子がミックスされてる。序盤は若干ダブっぽい4つ打ちで淡白な感触だが、Monolake(10曲目)を境にダブステップもしくはダブステップ風の変化を付けたビートが使われたり、ダブ効果もディープになってきて面白くなってくる。

ミニマルダブとダブステップのリンクを掘り下げるDJミックスと言ったら大げさだろうか。ミニマルダブが中心とは言え、関連が深い両者がシームレスに結ばれ、興味深いミックスになっている。

ミニマルダブやダブステップ(特に前者)が好きな人には文句なくおすすめ。

mouse on the keys
スリーディーシステム
発売日:2009-07-08

好評だった先のEPに続く複数台ピアノ+ドラムスバンドのフルアルバム。とにかくヒップホップの影響も感じるダイナミックなドラムが聴きもので、それに低音がよく効いたピアノが絡み、その編成にもかかわらず実にロックしている。このアルバムではベースやサックスなどのゲストも迎え、楽曲の幅は広くなっている。しかし芯は独自の世界観を堅持しているので、違和感なく聴ける。

その芯は実にポストロック的なものだと感じる。ポストロックの本質は「折衷主義」にあると述べた人が居たが、ミニマルなフレーズを多用するこのバンドはテクノ的とも呼べるし、クラシックのカバーをしてみたり、あるいはゲストにサックスを迎えジャズ風になったり、ドラムスはヒップホップ的不整脈気味だったりする。しかし決して特定のジャンルに埋没することなく自分たちのサウンドを貫いている部分は、その様々なジャンルの取り入れ方が折衷主義的であると言え、ポストロックの本質を射抜いていると感じる。

とにかく先のEPと共に興味深い音楽性なので、特にポストロックを好むリスナーと限らず多くの人に聞いて欲しい。

Thomas Fehlmann
Kompakt Germany
発売日:2010-03-30

★★★☆☆
トーマス・フェールマンが2010年に発表した、TV番組のためのサウンドトラックを中心としたアルバム。4つ打ちの曲がほとんどだが、(元)相方のモーリッツ・フォン・オズワルドの影響をモロ受けたミニマルダブや、ウォルフガング・ヴォイトのGAS系のキックありアンビエンスのような曲が多い。特にエフェクトの掛け方はモロこの2つの影響を受けている。と言うことで、この2者のファンならば素直に受け入れられるサウンドだと思う。しかし逆に言えばオリジナリティのなさが欠点。如何にもサントラな曲も収められているが、キック無し故に体感的にスッと受け入れることは難しい。サウンドトラックという制約の多い条件での楽曲作りが大きく影響したのではないだろうか。とは言え、BGMとして流すにはGAS系サウンドやミニマルダブは一級品。そういう意味で、サントラとしては非常に優れた一枚と言えそう。

Esplendor Geometrico
Geometrik
発売日:2011-04-26

★★★☆☆
Atom TM、Frank Bretschneider、Andreas Tillianderというエレクトロニカ界のベテラン3者と、E.G.のサブユニットM.S.B.による四者四様のE.G.リミックス10インチ。

Atom TMはコラージュ感覚の強い仕上がりになっていて、E,G,のインダストリアル的要素が解体されている。Frank Bretschneiderはかなり原曲の雰囲気を残し、ミニマルな曲風になっている。ただし音をパンさせたり位相を変化させるテクノ的な曲展開から、終盤はクリックっぽい雰囲気に。Andreas Tillianderも原曲に近い。耳に付く跳ねるようなベースはこの人の特徴か。M.S.B.はさすがの呪術的ミックス。

Panda Bear
Kompakt Germany
発売日:2011-08-02

★★★☆☆
7インチで発売されたシングルがオリジナルらしい。7インチは普通にジャケットありでA面にオリジナル、B面にActressによるリミックスが収められていたが、この片面12インチでは片面にActressのロングミックスを収め、反対の面は7インチのジャケットを模したエッチングになっているという変則盤、Kompaktからのリリース。

恐らく収録時間からして7インチよりミックスは長い。ジャンル不明のサウンドとよく言われるActressだが、ここでは原曲の呪術的な部分をサンプルとしてループさせ、ややBPM遅めのテックハウス風に仕上げている。Kompaktのカラーによく合った一曲。

★★☆☆☆
アルバムがヒットし、発売と共にその内容に賛否両論渦巻いたJames Blake。そのアルバムとほぼ同時に発売された10インチシングルカットがこれ。両面ともアルバムに収録された楽曲だが、Lindisfraneはアルバムでは分割されていて別ミックス。

この人のアルバム以降の音楽性について言うなら、ソウルに多少ダブステップの香りを匂わすといったとこで、熱心なダブステップリスナーの方が「これが(ポスト)ダブステじゃない!」と主張されていたのも分かる気がする。ポスト・ダブステップと呼ばれるサウンドには、取り敢えずBPMを100以下に落として、たまにはワブルベースでも響かせて、それっぽい(一番多いのはローファイな生楽器の演奏)上物を載せて、はいダブステップよという安易な楽曲が多い。こちらが聞きたいのはスロウなダンスサウンド/リスニングテクノじゃなく、ダブステップ独特の粘りがある、隙間が多くてファンキーなベース・ミュージックなんだと主張したい。要はレゲエのリディムの如く、リズム面での工夫がもっともっと欲しい。

James Blakeのアルバムは決して悪いアルバムじゃない。ソウルフルで何度も聞き返したくなる好盤だと思う。でも先に述べたようにダブステップらしくはない、だからポスト・ダブステップ?安易な。

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