2011/11/05

ポストダブステップ最右翼?"Brostep"について

@dubjapanesqueさんのツイッターでの発言より以下引用(前後の発言も参照)。

【参考】Brostepとは(http://www.urbandictionary.com/define.php?term=brostep) ※Dubstepから派生したサブジャンル。LFOスピードやミッドレンジを強調、ソウルを重視しない等、伝統的なダブステ信者からの批判めいた言葉が並ぶ。例:Rusko、6blooc、DoctorPの大口動画。

last.fmによれば中心的ミュージシャンはSkrillexなど。単純にUS産ダブステの変種かと思ったらそうではなく(例えば、Bangs & Worksのシカゴの連中。また機会があったら集中レビューでアメリカのダブステップを紹介してみたいと思います)、ダブステップの持つ分かりにくく曖昧な部分(実際、自分のツイッターのフォロワーさんにも「よく分からないうちにダブステップは終わってしまった」趣旨の発言がありました)をわかりやすく、商業化したものをBrostepと呼び、世界中に広まりを見せているとのこと。11/4夜の@dubjapanesqueさんの発言も参照。

ではなんと現時点で600円以下マルチバイありで買えるSkrillexの盤(EPにあたると思います)についてレビューしてみます。

Skrillex
Big Beat / Wea
発売日:2011-07-11

★★★★☆
ダブを廃したダブステップことBrostepの最右翼ミュージシャン、Skrillexの今のところ唯一のCD。オリジナル曲6曲、リミックス3曲で実際のところアルバムでなくEPといえるか。

リズムはJames Blakeの時に少し批判した1拍3拍の単純なものが基本だが、多少ブレイクコア的展開があったり、ワブルベースがアクセントになっていたり、4つ打ちになったりと多彩さが耳を惹く。従来のダブステップらしさといえばリズム面だけで、ワブルベースも使われているものの音域がミドルレンジの上にLFO(エフェクトの一種で単純に言えばビブラート?)が速く、ド派手なベースに聴こえ、最早ワブルベースの体裁をなしていない。

ド派手なベースとコロコロ変わる展開、そして綺麗めのシンセパッドとトランスとダブステップのクロスオーバーのようで、個人的には惹かれるものがある。しかしこの手のサウンドがダブステミュージシャンの批判の対象になっていると聞くと、複雑な思いもある。ダブステップを分かりやすく商業化したものがこれなのか。

件の動画


正直これがダブステップのグローバル化/商業化した姿なのかと言われるとよく分かりません。ただ、大衆受けのいいトランスとのクロスオーバーでダブ色を薄め、分かりやすくしたというのは理解できます。確かにダブ色の強いダブステップは魅力的だし、それが無くなったらダブステップじゃないという意見も出るでしょう。しかしコアなダブステップの衰退も正直否定しがたい。さすがにゼロ年代前半に出たサウンドだし、2003年~2005年頃はThe Bugなどラガ色・ダブ色の強いダブステップがコアなサウンドになっています。そして早くもポスト・ダブステップと呼ばれたBurialのファースト「Burial」が2006年。あと、個人的にコアなダブステップの躓きが、あんだけダブステップの新鋭として煽っておいて内容は…だったBengaのファースト「Diary of an Afro Woman」が2008年。そしてポスト・ダブステップとしてGlo-fi(グローファイ)などが取り沙汰されるも、ダブステップ+ダウンテンポ、アンビエントという方向性がダブステップ以上に分かりにくく、いまいち流行しなかった事実。それを考えると、この期に及んでもダブステップの新展開を見せてくれるBrostepには、一定の価値があるのではないかと思います。そもそも、テクノとのクロスオーバーが最近のダブステップ界全体の流れだけに、Brostepのサウンドはそれを極めた決定版のようにも聴こえます。

ただ気になるのは、例えばテクノからトランスが枝分かれしていく段階で色づけられた「商業主義」「女子供のダンスミュージック」というイメージ・レッテルが、見事このBrostepにも当てはまるんですね。コアなダブステップのロンドン生まれながらブリストル産と見間違う(と言うか結構最近までブリストルが発生地だと思ってた…確かに影響はあるでしょうが。実際にはロンドンのメアリー・アン・ホブスのラジオなんかが流行のきっかけみたいです)ばかりの煙たいダブ色や、近年のポスト・ダブステップの百花繚乱で示した雑食性。自分はミニマルダブから入ったので、ダブステップとそのダブ色にもまだまだ魅力を感じるだけに、ポスト・ダブステップとして今後のBrostepの動向が気になるところです。Skrillexも新譜を用意していることですし。

 ・参考
いまからでも遅くない! 知ったかぶりで済ませてる人のためのダブステップ/ポスト・ダブステップまとめ【前編】
いまからでも遅くない! 知ったかぶりで済ませてる人のためのダブステップ/ポスト・ダブステップまとめ【後編】

・おまけ
なんだこれ!(ドン引き)