2011/11/05

ポストダブステップ最右翼?"Brostep"について

@dubjapanesqueさんのツイッターでの発言より以下引用(前後の発言も参照)。

【参考】Brostepとは(http://www.urbandictionary.com/define.php?term=brostep) ※Dubstepから派生したサブジャンル。LFOスピードやミッドレンジを強調、ソウルを重視しない等、伝統的なダブステ信者からの批判めいた言葉が並ぶ。例:Rusko、6blooc、DoctorPの大口動画。

last.fmによれば中心的ミュージシャンはSkrillexなど。単純にUS産ダブステの変種かと思ったらそうではなく(例えば、Bangs & Worksのシカゴの連中。また機会があったら集中レビューでアメリカのダブステップを紹介してみたいと思います)、ダブステップの持つ分かりにくく曖昧な部分(実際、自分のツイッターのフォロワーさんにも「よく分からないうちにダブステップは終わってしまった」趣旨の発言がありました)をわかりやすく、商業化したものをBrostepと呼び、世界中に広まりを見せているとのこと。11/4夜の@dubjapanesqueさんの発言も参照。

ではなんと現時点で600円以下マルチバイありで買えるSkrillexの盤(EPにあたると思います)についてレビューしてみます。

Skrillex
Big Beat / Wea
発売日:2011-07-11

★★★★☆
ダブを廃したダブステップことBrostepの最右翼ミュージシャン、Skrillexの今のところ唯一のCD。オリジナル曲6曲、リミックス3曲で実際のところアルバムでなくEPといえるか。

リズムはJames Blakeの時に少し批判した1拍3拍の単純なものが基本だが、多少ブレイクコア的展開があったり、ワブルベースがアクセントになっていたり、4つ打ちになったりと多彩さが耳を惹く。従来のダブステップらしさといえばリズム面だけで、ワブルベースも使われているものの音域がミドルレンジの上にLFO(エフェクトの一種で単純に言えばビブラート?)が速く、ド派手なベースに聴こえ、最早ワブルベースの体裁をなしていない。

ド派手なベースとコロコロ変わる展開、そして綺麗めのシンセパッドとトランスとダブステップのクロスオーバーのようで、個人的には惹かれるものがある。しかしこの手のサウンドがダブステミュージシャンの批判の対象になっていると聞くと、複雑な思いもある。ダブステップを分かりやすく商業化したものがこれなのか。

件の動画


正直これがダブステップのグローバル化/商業化した姿なのかと言われるとよく分かりません。ただ、大衆受けのいいトランスとのクロスオーバーでダブ色を薄め、分かりやすくしたというのは理解できます。確かにダブ色の強いダブステップは魅力的だし、それが無くなったらダブステップじゃないという意見も出るでしょう。しかしコアなダブステップの衰退も正直否定しがたい。さすがにゼロ年代前半に出たサウンドだし、2003年~2005年頃はThe Bugなどラガ色・ダブ色の強いダブステップがコアなサウンドになっています。そして早くもポスト・ダブステップと呼ばれたBurialのファースト「Burial」が2006年。あと、個人的にコアなダブステップの躓きが、あんだけダブステップの新鋭として煽っておいて内容は…だったBengaのファースト「Diary of an Afro Woman」が2008年。そしてポスト・ダブステップとしてGlo-fi(グローファイ)などが取り沙汰されるも、ダブステップ+ダウンテンポ、アンビエントという方向性がダブステップ以上に分かりにくく、いまいち流行しなかった事実。それを考えると、この期に及んでもダブステップの新展開を見せてくれるBrostepには、一定の価値があるのではないかと思います。そもそも、テクノとのクロスオーバーが最近のダブステップ界全体の流れだけに、Brostepのサウンドはそれを極めた決定版のようにも聴こえます。

ただ気になるのは、例えばテクノからトランスが枝分かれしていく段階で色づけられた「商業主義」「女子供のダンスミュージック」というイメージ・レッテルが、見事このBrostepにも当てはまるんですね。コアなダブステップのロンドン生まれながらブリストル産と見間違う(と言うか結構最近までブリストルが発生地だと思ってた…確かに影響はあるでしょうが。実際にはロンドンのメアリー・アン・ホブスのラジオなんかが流行のきっかけみたいです)ばかりの煙たいダブ色や、近年のポスト・ダブステップの百花繚乱で示した雑食性。自分はミニマルダブから入ったので、ダブステップとそのダブ色にもまだまだ魅力を感じるだけに、ポスト・ダブステップとして今後のBrostepの動向が気になるところです。Skrillexも新譜を用意していることですし。

 ・参考
いまからでも遅くない! 知ったかぶりで済ませてる人のためのダブステップ/ポスト・ダブステップまとめ【前編】
いまからでも遅くない! 知ったかぶりで済ませてる人のためのダブステップ/ポスト・ダブステップまとめ【後編】

・おまけ
なんだこれ!(ドン引き)

2011/10/31

レビュー(21) Mani Neumeier小特集

ほんの思いつきでマニさん関係を3枚ほどレビューしてみようと思います。

マニ・ノイマイヤー&ペーター・ホリンガー(MANI NEUMEIER&PETER HOLLINGER)
CAPTAIN TRIP RECORDS キャプテン・トリップ・レコーズ
発売日:2007-03-20

★★★★☆
Mani NeumeierとPeter Hollingerという二人のドラマーがバリに訪れて現地のガムラン奏者と行った狂乱のセッションを収めたもの。もともとトライバル志向の強かったノイマイヤーのソロアルバムの延長といえる。

二人のドラマーが参加しているだけに、単なるワールドミュージックでなく、一種独特の快楽性・中毒性のあるトランシーパーカッションサウンドになっている。ガムランの限られた音階・ミニマルに繰り返されるドラムス辺りがサウンドの肝か。先に書いたように、ノイマイヤーはソロアルバムでトライバル志向が強かっただけに(Privatなど)、ツボをわきまえたドラムスで見事にガムランをサポート。トライバルサウンドを快楽へと押し上げていて、ワールドミュージックでもクラウトロックでもないレベルにサウンドを導いている。

近い存在として、日本のディジャリドゥ奏者GOMAの関連プロジェクトや、同じクラウトロックのドラマーJaki LiebezeitのDrum Off Chaos作品(レビュー済み)などを想起させる。両者ともトライバルなサウンドに西洋的なドラムキット導入して融合させ、新たなるエスノサウンドを作り上げている好例。Rovoなども思い出させる部分も。

リーベツァイトといえば初期CANにおけるトライバルなドラミングが著名で、この盤もその影響下にある一枚といえる。本来の意味でのトランスサウンドに興味がある人におすすめ。

マニ・ノイマイヤー(MANI NEUMEIER)
CAPTAIN TRIP RECORDS キャプテン・トリップ・レコーズ
発売日:1998-01-31

★★★☆☆
93年作。折からのテクノブームによるクラウトロックの再評価に乗って、Mani Neueierの再評価に繋がった歴史的名盤。湿気たフュージョンになってしまったGuru Guruで評価がガタ落ちだったマニさんの「今」が、この盤によって見直されるようになった記念すべき一枚。初版は特製木製ケース入りだが、これは後でキャプテントリップが再販した紙ジャケット盤。元々はマーキーのクラウトロック集成に載っていた憧れの一枚でした。

その「原始」というタイトル通り、ドラムキット一丁(内ジャケに全裸のマニさんの写真入り)でマニさん独自解釈のトライバル/エスノを表現した作品。ドラムスのフレーズの連呼に、ベルやヴィブラスラップ、スティールパン等のパーカッションや奇妙なヴォイスが加わり、独自の世界を作り上げている。後の作品のようなノリノリのトランシーさはないもの、地味にやりたい放題やっている感じが伝わってくる快作。当然マニさんにテクニックはあるものの、決してそれをひけらかす作りになっていないのも重要な点。

ドラムキット=西洋楽器を使っていることによるエスノの混交による新たなるエスノの創造と言ったら大袈裟か。しかし、この後のマニさんによる諸作品のキーポイントの一つがそこにあると思う。もう一つはクラウトロックの持っていたミニマル感/トランス感を現代に蘇らせたこと。それはマニさんが担っていたものでもある。言うまでもなく、高名なZero Setセッションに加わっていたから。

クラウトロック再評価の一翼としても、ロックの歴史としても重要な一枚。

マニ&コニー(MANI NEUMEIER&CONNI MALY)
CAPTAIN TRIP RECORDS キャプテン・トリップ・レコーズ
発売日:2001-09-25

★★☆☆☆
Mani NeumeierのテクノプロジェクトLover 303。タッグを組んでるコニーは残念ながらコニー・プランクではなく(当然?)、Conni Malyというマニさん周辺で活動している人物(女性だろうか?)。マニさんのテクノ作品ということで、名盤Zero Setに近いアイデアといえばアイデアだが、メインがメビウスの奇妙なシンセと違い、303とあるようにアシッドシンセが主体になっている。他にはスポークン・ワード(全般)、ギター(#1#8のみ)が使われる。4つ打ちが使われるがマニさんがエレドラを叩いているのか、それとも打ち込みなのかは不明。ドラムスの叩き方もリズムキープはシンセ音に任せて、オカズ主体のクリスピーなスタイルになっている。

もう少しマニさんのドラミング主体にしたほうが面白かったかも。クラウトロックでもZero Setには残念ながら遠く及ばず、同傾向のLiebezeitのClub Off Chaosの方が完成度は上。マニさんもBurnt Friedmanのようなテクノ/エレクトロニカの最前線で活動している良いパートナーを見つけてほしい。でも、このアルバムもマニさんのドラムを中心に聴いていれば十分に楽しめて、そこまで酷いわけでもない。でも人力テクノ(死語)的他作品のほうが楽しめる。

2011/10/17

レビュー(20)

Blood of Heroes
Ohm Resistance
発売日:2010-04-06

★★★★☆
Bill LaswellとJustin K Broadrickのコラボレーションにして、メタル+ダブステップという新ジャンル、メタルステップ/メタルダブステップの嚆矢とされる一枚。2010年発表のファースト。しかしラズウェルによる生演奏ドラムンベースプロジェクトSubmergedのメンバーや、最近メルツバウとコラボレートしたBalazs Pandiなどが参加し、単なるメタル+ダブステップにならず、生楽器を大幅に取り入れる方向性になっているのが特徴。

#1からラガ・ダブステップに重金属ギターが乗り、このプロジェクトの方向性をはっきりと示している。ドラムスは生音を切り刻んで使っている模様(Submergedと同じ手法)。途中からドラムンベースに変化する。#2は生演奏ダブステップ。#3はメタルギター、ワブルベース、やはり生を基本としたドラム、トースティングで構成される。#4はドラムスが切り刻まれドラムンベースになり、メタルギターなどが乗る。BPMが高めで、最近の8ビート系ドラムンベースにも近い。#5は生音ドラムにポストロックのようなディレイギターが乗る(そういえばジャスティンのJesuは最近ほとんどポストロックになっていた)。#6は生ドラムやぶっといベースにスポークン・ワードが乗る異色作。しかしそれほど異物感はない。#7はJesuそのまんまのギターで始まる。コード進行もJesuっぽい。細切れのブレイクが所々挿入されるが、ドラムンベースと言えるまでには至らない。#8はドラムンベースにメタルギターが乗り、ハードコアテクノのようになっているが、途中でリズムの変化がある。#9はシンセパッドから、BPMの遅いメタルダブステップがビルドアップされていく。#10は生演奏でダブステップをやるならといったような曲が、メタル+ドラムンベースに展開する。

エレクトロニカ寄りの盤が多い近年のダブステップと比べて、ラズウェルの趣味を反映してかドラムンベースからハードコアまで幅広い音作りになっている。そして生楽器の演奏中心。もう少しストレートに「メタルダブステップとはこうだ」と言うようなサウンドが聞きたかった気がしないでもないが、ここまでダブステップの新展開を見せてくれただけでも有り難いか。また、ダブステップファンだけでなく、インダストリアル・メタルのファンにもアピールしそうな内容。

Richard Devine
Schematic
発売日:2001-12-25

★★★☆☆
音楽として捉えるのも困難なほど異常に複雑なプログラミングで、「オウテカを超えた」とも言われていたRichard Devineの2001年作。数曲はビートがあるものの、ほとんどビートレスの奇妙なドローン状になっており、とにかく特殊で複雑極まりないサウンド。某書では「細分化された重層的構造を援用しつつも、あくまでも根源的なプログラミングのスキルで乗り越えようとする」なんて書かれました。分かるような分からないような。とにかく複雑なプログラミングのアウトプットと思われるサウンドが特徴。短い活動期間でシーンから消えてしまったのが残念。

2011/10/05

レビュー(19)

Picastro & Nadja
Broken Spine
発売日:2011-09-20

★★★★☆
極度に多作なドローンメタルデュオNadja。今度は個人的に知らないPicastroというバンドとのコラボレーションを発表しました。Picastroは同じトロントのトリオで、ステージも共にしているようです。A面4曲がPicastroサイド、B面1曲がNadjaサイドとなっていますが、A面はNadjaのメンバーも参加しています。

このPicastroというバンドの音楽性が特殊で、ベース+ドラム+ヴァイオリン(女声Vo.)のトリオ。ドゥーム・ロックと某ショップで紹介されていましたが、まさにそんな感じで、スロウで陰鬱なロックを奏でています。これも例えばドゥームジャズのBohren & Der Club Of Goreのように、ドローンメタル/ドゥームメタルの一側面といえるのではないでしょうか。スロウなロックサウンドということで、スロウコアを思い出される方もいるかも知れません。確かに似ている部分もありますが、独特の陰鬱な世界観は幻想的なスロウコアの世界とは一線を隠しています。

B面のNadjaはいつもどおりw 流石としか言いようがありません。

とにかくこのPicastroというバンドのサウンドに触れるだけでも価値があると思います。流石Aidan Baker、世界中にドゥーム/ドローンメタルのネットワークを張り巡らしているようです。アナログにはDLクーポン付き。

2011/09/30

レビュー(18)

★★★★☆
また人力テクノ(完全に死語)バンド発掘。ニューキャッスル出身の4人組で、どうやらバンド名は日本語の「もしもし」から来ているよう。

ひたすらブレイクビーツを刻み続けるドラムスに、シンセやギター、ヴォイス等の上物が被さる。使い方によってはダンスミュージックとして機能しそうで、人力ブレイクビーツ+ダンスという意外と無かった方向性が無闇に格好いい。The Rootsみたいな生楽器ヒップホップ、いやRovoのファンなどにアピールできるかな?という感じのサウンド。

一応ブクログではdance rockという新しいジャンルで分類してみた。本当に分類不可能の異質なバンドで、機会があれば是非聴いて欲しいが、CDは入手困難くさいのが残念…。

2011/09/29

レビュー(17)

★★★☆☆
Neo Ouijaってまだ活動していたのか・・・という感じの2010年作、Luca Cancielloというイタリア・ナポリ在住のマルチインストゥルメンタリストによるソロプロジェクト。

基本的にはこの界隈らしいブロークンビートに上物が絡むスタイルで、#6のようにスポークン・ワードが、#7のようにギターとベースらしきサンドが被さったりする。今更新しい手法でもないが、生っぽいスネアの音色にキックが硬くて重く、ブロークンビートによく合っているので、リズム面はなかなかタイトで創造的かつ魅力的。恐らく生ドラムだけでなく、様々な楽器をカットアップすることによって楽曲を構成しているものと思われる。

エレクトロニカ好きなら聴いて損はないのでは。ミル・プラトーが復活し活発に活動している今、Neo Ouijaが復活するのも悪く無い話。

Heaven and
Staubgold Germany
発売日:2010-05-11

★★★☆☆
Martin Siewert(efzeg、Trapist)、Tony Back(The Necks)、フェネスとの活動経験があるZeitblom、Steven Heather(efzeg)というニュージャズ系/電子音響ジャズオールスターとも言えるカルテットの2nd。ファーストも結構話題になりました。ただ、ここではお互いの音楽的ルーツを探るサウンドということで、あまりジャズ的色彩はなく、呪術的とも言える一種独特のサウンドを発している。

本人達はブードゥー的と言っているそうだが、確かに呪術的パーカッションをダビーなベースに乗せ、ギターとヴァイオリン?が異国情緒を描き出す#1、リズムがドラムマシン(エレドラかも)になる以外は#1と雰囲気が似ている#2、エレクトロニクスが全くエスノを感じない異質な空間を作り出している#3、ブルースギターの響く#4、ビートレスでハーモニカ、ギター、エレクトロニクスと主役がコロコロ変わる構造はフリージャズ的な、でもジャズ的触感は全く無い#5、このアルバムの中では比較的元気でポストロック/ポストジャズ的な、しかし独特のドラムスで徐々にリズムがずれてくる#6とどの曲も独特の世界を描き出している。

基本的にはメンバーに惹かれるポストジャズ/電子音響ジャズファンにアピールするサウンドだが、モノトーンのサイケデリックと表現したくなるようなフリーキーながら抑制の効いた出来になっており、実験的音楽を聞くリスナー全方位的に聴かれても良いサウンドだと思う。

Heaven And
Staubgold Germany
発売日:2008-05-27

★★★☆☆
2ndをレビューしたので1stも。メンバーは2ndと同じMartin Siewert(efzeg、Trapist)、Tony Back(The Necks)、フェネスとの活動経験があるZeitblom、Steven Heather(efzeg)の4人組。1stと同じドイツstaubgoldからのリリース。#2#5ではアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのAlexander Hackeがヴォーカルとして参加している。

どの曲も作曲された部分とフリーの部分が混在していると思われる。そしてニュージャズ界隈の人脈でフリー演奏もあるにもかかわらず、抑制されて大人しく聴こえる。この感覚は、SiewertのTrapistや関連プロジェクトRadianとよく似ている。この2バンドは基本的にフリーな演奏であっても、ひどく抑制されたもので、且つポストプロダクションが加えられ異形の電子音響ジャズと化している怪盤をリリースしている。ということで、このプロジェクトもSiewertが主導的役割を担っているのではないかと思われる。

#1は導入部を思わせるドラムスにシンセ?ドローン/パッドと大人しいギターが乗る。#2が件のヴォーカル曲で、ドロドロに融け合いモゴモゴしたサウンドからトライバルなドラムスに変化するバッキングに、独唱のようなヴォーカルが乗る。一応ラブソングなんだろうか?タイトル通り女性のことを歌っている。#3はやはりトライバルなドラムスに、呪術的に聴こえるギターの長弾きソロが乗る。比較的派手な曲。#4は作曲された短い曲。#5もヴォーカル曲。今度はある程度バッキングも声に合わせて演奏する。序盤のマーチングドラムのような演奏、そして次第にメタリックになり悲鳴を上げるギターが印象的。#6は恐らく骨格だけ決めてある、二本のギターとベース・ドラムスによる大人しめなインプロヴィゼーション。#7も#6とよく似た雰囲気。マレット系?の音がゆっくり連打され、それに合わせて抑制的な演奏が行われるが、後半はだんだん激しくなっていく。#8も似た雰囲気だが作曲された部分が多い。ブルージーなギターと徐々に空間を支配してゆく電子ノイズが印象的。#9もブルージーな短い曲。

やや気になるのはエンジニアリングで、なんというかステレオ感に薄くローファイに聴こえる。そして2ndに比べて比較的派手な印象がある。ただ自由度は2ndのほうが上か。Radian/Trapist周辺は興味深いサウンドで、もっと探ってみたい。Siewertもソロやコラボレーション作を発表している。

2011/09/27

レビュー(16)

KAYO DOT
HYDRAHEAD
発売日:2010-05-31

★★☆☆☆
日系人の女性ヴァイオリニストを含むボストンの8人組。ポストロック~ポストメタルに分類される音楽性だが、世間の扱いはちょっと良く分からない。しかし曲によってはホーン隊もゲストに迎えていて、古色蒼然とした雰囲気はポストロックより何世代も前…プログレのように聴こえる。プログレでもキング・クリムゾンのようにメタリックなバンドは存在しているし。gybe!に比較されているらしいが、確かに暗い雰囲気とヴァイオリンの導入は似ているものの、ああいったポストロックのビルドアップによる轟音ギター路線とは、また一線を画しているように思う。例えば#3のファズギターとヴァイオリン・ホーン隊の絡みはかなりプログレっぽい。

現代に蘇ったプログレとして、Zombiと共に興味深い存在ではある。

2011/09/26

レビュー(15)

MY DISCO
JUNK LAB RECORDS
発売日:2008-10-11

★★★★☆
Battlesが初期EPのまま進化したら…あるいはドンキャバとBattlesが融合したら…そんな(つまらない)妄想を抱かせてくれるオージーマスロックのファーストのベストテイク+セカンドのカップリング日本盤(ジャケットがファーストともセカンドとも違うので注意)。ファーストとセカンドは別々でもAmazonで買えます。セカンドはアルビニプロデュース。セカンド発表時はBoomkat辺りでも話題になりました。

まずはとにかくミニマル・ミニマル・ミニマル。ヴォーカルも少し入っているのですが、ヴォーカルまでミニマル。2~4小節ぐらいのフレーズをミニマルに繰り返し、ビルドドアップ・ビルドダウンで基本的に曲展開していく。そして時々変拍子を使いマスロック。#6のようにギターソロが入るところもあり、ここはミニマルではないんだけど、何処か特徴的で人を舐めたようなフレージングになっている。まさに死語だけど人力テクノ。でも四つ打ちじゃない、ロックでしかできないドラムパターン。ハードコアの要素も所々で感じ(特にヴォーカルが入るところに)、変拍子+ミニマル+ハードコアというマスロックのど真ん中をいく音楽性である。

とにかく独特の音楽性で彼らにしかやれないサウンドなので、百見は一聴に如かず、マスロック好きは聴いてみるべし。

2011/09/24

レビュー(14)

Trans Am
Thrill Jockey
発売日:2010-04-20

★★★☆☆
トータスと同時期からスリル・ジョッキーで活動していた(マッケンタイアプロデュース盤あり)ロングキャリアなトリオの2010年作。

彼らというとアルバム「TA」でニューウェーヴのパロディをやっていたりして、シカゴ音響派/ポストロックの例に漏れずハードコア出身らしいが、比較的コアなポストロック界隈ではユーモラスなイメージがある。

このアルバムでも例えば#6で激しいギターソロ+ドラムス連打をしていても、何処かクリシェと言うかフェイクっぽく、裏で鳴っているスペイシーなシンセが演者と曲との「距離感」を演出しているのが良い。1分程度のブリッジになる小曲が収められていて、ここでもフェイクっぽい姿が見られる。基本的にこのレガシーな音色のシンセが主役で、大雑把に言えばステレオラブ+トータスと言う感じ。ドラムスは豪快で音取りもよく、ドラムスにかぎらず全体的にクラウトロックを意識している感じがする。

彼らの過去作は数枚持っているだけなのだけど(これが9thかな?)、他の盤にも興味が出てくる良盤。

2011/09/20

レコードクリーニング液の自作


上の湿式レコードクリーナーを買ったのですが、クリーニング液がめっぽう高いので、色々なブログや友達の情報を参考に自作してみました。材料はコンタクトレンズ洗浄用の精製水400ml、消毒用の無水エタノール100ml、写真のフィルム関係で使う界面活性剤ドライウェル約5滴です。界面活性剤ドライウェルはレコードの静電気を抑える効果があるので加えます。後は百均でストロー、色々な大きさの漏斗、ミネラルウォーターのペットボトル(の空き容器)を用意しました。




無水エタノールも精製水も薬局で売っていますが、前者はAmazonで買ったほうが安いかな。うちの近くの薬局だと1800円もしました。精製水は薬局で500ml入りが100円以下で買えますので調達してきましょう。ドライウェルはカメラ屋などにも売っているようですが、このリンクのヨドバシカメラが今送料無料で安く売っているのでお勧めです。一瓶買えばほぼ半永久的に使える量(200ml)が手に入りますし。

次にミネラルウォーターのペットボトルを混合容器に使います。(密封できる蓋が付いた綺麗な容器なら何でもOKです)。だいたい満杯がどれくらいか見て、中身を開け(口をつけて飲まないようにw、レコードクリーナー液として使わないようにw)はかりに乗せて、精製水を400gになるまで注ぎ、更に満杯になるまで無水エタノールを約100ml注ぎます。ドライウェルはストローを使って、ピペットのようにドライウェルの中に突っ込んで、ストローの端を押さえ、そのまま引き上げて先ほどのペットボトルの液の中にポタポタ垂らしていけばOK。それでペットボトルのふたを閉めて振ってよく混ぜれば出来上がり。少しエタノールと水を混合したことによる熱が発生しますが、たいしたことないので驚かないように。ただ、ペットボトルのふたを開けるときは吹き零れないように気をつけましょうって、多少こぼれてもいいのですが。

後はクリーニングブラシに垂らすのに都合のいい容器に、漏斗を使って移し変えればお終い。上のクリーナーについてきたクリーニング液の容器で十分ですが、精製水もコンタクトレンズ用だと容器の構造が少しずつ滴下できるようになっているので、開いた精製水の容器を使うのも手です。エタノールも水もドライウェルも、ネット上に載っている経験則による値で、ホント適当でいいので自分なりに加減してみるのもいいと思います。

今後はドライウェルの量を増やしてみたり(ほんの少しずつしか使わないので、もう少し…10滴ぐらいぶち込んでもOKだそうです)、無水エタノールの代わりに圧倒的に安い消毒用エタノールを使ってみたりしようかと思います。無水エタノールは酒税がかかるので高いのです。消毒用エタノールはエタノールの濃度が80%ぐらいで、イソプロパノールなどが混ざっているので酒税が掛からないから安い…筈です。また、最初から無水エタノールの代わりにイソプロパノールを使っている例もネット上では見かけますね。手に入るならそれでもいいと思います。要は皮脂を溶かし、レコードを溶かさず、乾燥が早くなる液体なら何でもいいので。

上にあるレコードクリーナーだと、ブラシの取っ手側から垂らすとブラシ部分のベルベットが適度な湿り気になる…とかいう使い方なんですけど、もう液が大量にあるしベルベットが湿るのに時間が掛かって面倒なので、ブラシ側に直接ぶっかけて使ってます。盤は最初びしょびしょになりますが、すぐに乾きますし。ただしこの方法だと一振りの滴下でレコード2枚ぐらいを拭くのが限界です。

ベルベットブラシの代わりに化学実験用の拭きとりクロス・ベンコット(やその類似品)を使う方法もありますが、ランニングコストがかかるので検討を要します。この場合、クリーニング液はスプレーボトルを使って吹き付けると拭き取りやすいそうです。


個人的には方向性ベルベットブラシで十分だと思いますね。早速作ったクリーニング液で拭き取ったレコードを聞いてみたところ、無音部分のプチノイズ(スクラッチノイズ)がかなり軽減され、ほとんど聞こえなくなりました。

あ、ベルベットブラシはちゃんと湿式用のを使ったほうが無難だと思います。乾式クリーニングブラシだとブラシにダメージが行く可能性がありますから。

(スペシャルサンクス:S.K.兄貴

2011/09/17

レビュー(13)

★★★★☆
オルークの2002年の名盤のボーナスディスク付き再編集/再発。

元々アルバムに含まれていた部分(Disc 1)は素晴らしい。#1はチラチラと蠢き、飛び廻る透明感のある電子音のミニマルな展開。#2からはそれに楽器音やサンプルがあくまでもミニマルな装いを残したまま加わる。フォークトロニカの名盤、Greg Davis/ArborやDot Tape Dotの諸作のような感じ。あるいは日本のフォークトロニカの金字塔、SoraのRe.sortまでも思い起こす。2002年だからこれらより前~ほぼ同時期。その後この手のサウンドはある程度興隆を見せるのだけど、未だにこのアルバムのサウンドは色あせていないように感じる。#3は弦楽器を中心とした楽器音などが浮かんでは消えてゆく静謐な曲。Terminal Pharmacyのコラージュ感覚を聴き易くしたようで素晴らしい。

問題はDisc 2。ボーナスディスクとして加えられた部分だが、正直言って余分だった。方向性の違う実験的サウンド。ちょうど最近リリースされたOld Newsシリーズのよう(同時期のライブの編集だろうか?)。Disc 1にTerminal Pharmacyを聴き易くした、と書いたけど、これはそのままと言うか。Disc 1と方向性がかなり違うので(手法は近いのだろうけど)カップリングする意図が見えない。無調で実験的、Disc 1とはまた違った静かで不穏なサウンドが流れる。

所詮はボーナスディスクか。Disc 1だけなら★5だけど、Disc 2の分-1した。旧譜を持っている方ならそれで十分。

2011/09/16

レビュー(12)

FLYING RHYTHMS
LASTRUM
発売日:2005-08-10

★★★☆☆
セネガルのパーカッショニストをフィーチャーしたドラムス、パーカッション、ダブミックスのトリオで、2005年発表のセカンド(恐らく)。人力テクノなんて古臭い言葉が出てきてしまうが、例えばゼロセットを思い出させるトライバル+ダンスといった方向性。ジャンベやコンガを使いながらも、本格的なアフリカンミュージックとは一線を引いた似非アフロダンスサウンドに仕上がっていて(例えばそういうサウンドはドラムキットを使わないし)、いわゆる元ネタとの距離感もいい。リカルド・ヴィラロボスなどと混ぜてみたくなるような、ダンスオリエンテッドなサウンドに聴こえる。作っている本人達も、アフリカンミュージックの再現でなく、ダンスミュージックを作っているとの意識が強いのではないだろうか?Rovoのような#2を聴いて思った。これは何度も聞き返したくなるアルバム。

2011/09/14

レビュー(11)

RON TRENT
PRESCRIPTION
発売日:2010-04-15

★★★★☆
シカゴハウス初期の名曲Ron TrentのAltered Statesを中心とした編集盤。2枚組で1枚目にオリジナル曲、2枚目にタイトル曲のリミックスを収録。

Disc 1はチープながらエモーショナルあふれる曲群が収められている。初期のデトロイトテクノに多大なる影響を与えただけあって、それらしいサウンド。アゲアゲのハウスではなく、ディープでじっくり聴かせる雰囲気はさすが。

Disc 2は日本でもCosmic Soulシリーズで著名になったCarl Craigによるリミックスを始めとした4曲を収録。

まあテクノ好きには一家に一枚的アルバムではないでしょうか。

2011/09/13

レビュー(10)

LOCUSSOLUS
INTERNATIONAL FEEL
発売日:2011-06-15

★★★★★
発売前から各輸入盤店で話題になっていた一枚。製作者のDJ Harveyはフランキー・ナックルズなどと並ぶUKのレジェンドDJと紹介されていたり、異端エレクトロユニットRub-N-Tugと絡みがあったり、ウルグアイのレーベルからリリースされていたり、ウェザオールやリンドストロム&プリンストーマスにリミックスされているなど、なんとも話題性に富んでいる。

肝心のサウンドはハウスを基調としながら、バレアリックに如何にもUK的な何でも取り入れるスタイル。取り敢えず流行りのスタイルを取り入れてみました的部分もあるが、DJ的視点からなので、あまり嫌味に感じない。このへんがバレアリックハウスのいいところ。全体的にBPMは低めで(120前後)ディープハウスとも取れそうなじっくり聴かす曲が多い。

#1はクリックハウスのようなサウンドからエレクトロのように展開する。#2は異常なロウテンポでじっくり展開。途中でギターソロが入る。#3は生っぽいベースが如何にもな、ウェザオールによる#1のリミックス。#4はBPMはディープハウスに近くても、サウンドはエレクトロのような覚醒的サウンドでギャップが面白い。生風ベースにチョッパーがアクセントで入る。#5はスローテンポでインディーロックのようなヴォーカルが入り、いわゆるチルウェーブなどの影響を感じる。#7は元気に、テクノ~テックハウスっぽい曲。#8はストイックさと華々しさを持ち合わせたヴォーカル中心の曲。#9#10#11はリミックス。#9はピアノとホーン隊が元気なリンドストロム&プリンストーマスのミックス。#10は#5の本人によるダブミックス。元々BPMが85しかないので合っている。#11は#2のエンペラーマシーンによるミックス。

取り敢えずクラブミュージックが好きな人なら何らかの取っ掛かりを感じる良盤になっていると思う。

イルリメ
バウンディ
発売日:2010-04-21

★★★★☆
イルリメ初体験(正確にはフィッシュマンズトリビュートで聴いていた)のミニアルバム。へぇ~この人こんなにポップだったのか、という感じ。声質も含めて、昔の電気グルーヴみたい。ラップも説教無しにひたすら元気で、スッと耳に入ってくる。クチロロ辺りがライバルになりそうなぐらい、バックトラックはポップな打ち込み。日本語ラップを上手にポップ・ミュージックへ展開していて、アルバムも聞いてみたくなった。

2011/09/11

レビュー(9)

SLUM VILLAGE
OCTAVE
発売日:2010-02-17

★★★★☆
故・Jay Deeが2MCと共に結成していた伝説のデトロイトヒップホップユニットSlum Villageの幻のファースト。

この盤を聴くと、ヒップホップ初心者の自分にもJay Deeのトラックメイキングは一流だと感じる。遺作Dountsと同じように短いトラックに、2MCのラップが乗る、ラップと言うよりトラックが主体の作りで、2が様々な音楽ファンに訴求しヒットしたのも理解できる素晴らしい作り。

メロウでありながらありえないコード進行だったり、よく響く重低音のベースだったり、切れの良いスネアだったり、意外なサンプル使いだったり、良いヒップホップのトラックの特徴を備えている好盤。

Yesterdays New Quintet ( Madlib )
Stones Throw
発売日:2004-04-20

★★★★☆
覆面ミュージシャンたちによる煙いジャズバンド…でなく、すべてMadlibによる演奏(らしい)似非ジャズプロジェクトの一枚。

何と全曲スティービー・ワンダーのインストゥルメンタルカバー曲で、拙くスカスカな演奏ながら原曲のエモーショナルを解体して、新たな楽曲に構成している。ほんとにスカスカな演奏で、ドラムス、ベース、主旋律を弾くローズピアノ、キーボード類とハンドクラップ、僅かなサンプル、それだけでほぼ楽曲が構成されている。特にローズピアノの拙さはわざとやっているとしか思えなくて、原曲のいわゆる脱構築に大きく貢献している。解体され尽くしたスティービーのソウルの残骸に何が残るのか?

個人的にはイージーリスニングのように聞こえる。寝る前に聴くとか、何かをしている時のBGMとか、そういうものにしたいような雰囲気。Madlibが引き出したかったスティービーの本質はリラクゼーションミュージックとしての側面だったのか?それは聴き手の解釈に委ねられているであろう所が面白い一枚。

個人的にこういったメロディの綺麗な曲のインストものというのは好きで、日本のポップスのマキシに入っているカラオケバージョンをわざわざ聴いているような好事家なので、こういった試みは楽しい。原曲も聴いてみたくなる。

iTunesの増設ドライブへの移行

プレイヤーにはiTunesをもっぱら使っているのですが、iTunesというやつが重くて気まぐれにジャケットアートやファイルをぶっ壊す困ったやつなのですが、昔の楽曲を主に低ビットレートのAACで持っているのと、再生回数を保持したいのでなかなか他のプレイヤーがいいと聞いても移行できません(Winampには割合移行しやすいのですが、再生回数が引き継げなかった…)。それはともかく、メインのHDDが容量限界に近くなってきたので、iTunesの楽曲データを移すために3TBの内蔵HDDを買いました。

ということで、SATAってなにそれ美味しいの?というぐらいの、ふるーい(10年前ぐらい)の自作PC知識を使って、どうにか3TBのHDDを増設しました。ネジは昔持ってたネジセットがあったし、HDDの増設方法はPCのマニュアルに懇切丁寧に書いてあったので、ハード的にはあっさり設置できました。埃まるけのPCケース内も掃除しました。ただ、Windowsには2.2TBの壁というやつがあって、色々用心していたのですが…やっぱり700GBと幾らぐらいしか認識しない。しかしググったりして調べたら、SATAのデータ転送を管理・高速化?しているインテルのラピッド・ストレージ・テクノロジーのソフトウェアを最新版にすればいいだけだった…。

と言うことで3TBの認識にはあっさり成功。ライブラリの移行にはiTunes Mediaフォルダの移行→「ライブラリを整理(統合)」と思い込んでいたのですが(以下参照)…。
http://support.apple.com/kb/ht1364?viewlocale=ja_JP

「ライブラリを整理」をしようとすると、

上記の容量が足りないとのエラーが…。メインのHDDは1.5TB、新しく増設したHDDは3TBなので容量が足りないはずありません。実際にiTunes Mediaフォルダも1TB強。その後、色々試して見ました。(iTunes Mediaフォルダでなく)iTunesフォルダを移行させたりして。んで、ホトホト困ってAppleの公式フォーラムで相談したりしたんです。で、更に自分でググってみて、ここを参考に、「iTunes Library.itl」ファイル(バイナリのライブラリファイル)を破棄して、「iTunes Music Library.xml」(xml=テキストベースのライブラリファイル)を書き換えて、.itlファイルを再構成することを思い付いたんです。でも、xmlファイルが260MB位と巨大で、開くことすら儘ならない。再びググりまして、「鈴川エディタ」という巨大テキストファイルをいじるためのエディタをDLしてきました。これを使って、増設したHDDはドライブレターをK:にしたので、xmlファイルの「/c:/」を「/k:/」に置換、そしてK:ドライブをC:ドライブと同様のファイル/フォルダ構造にして、itlファイルを再構成する。一応うまく行ったんです。でも、一部のファイルの取りこぼし(具体的にどれぐらいあるか不明)と、追加日の変更が発生してしまい、もうこれは仕方ないかなぁと思っていたんですが…。

が、最初気づかなかったんですがAppleの公式フォーラム教えていただいたURLに驚愕の事実が…。
https://discussionsjapan.apple.com/docs/DOC-1024

3-2.iTunesフォルダーまるごと移動させる方法

iTunesフォルダを丸ごと移動し、Macなら"option"キー、Winなら"shift"キーを押しながらiTunesを起動してライブラリ選択画面を出し、移動したiTunesフォルダ(の中のiTunes Libraryファイル)を指定します。(デフォルトライブラリの切り換え。)この方法では楽曲等の実体ファイルもライブラリ管理ファイルも移動したiTunesフォルダにある、つまり、iTunesフォルダの中にライブラリ関連のファイルが全て入っている状態を保つことができます。


えっ!?
正直iTunesフォルダはどっちのドライブにおいても良かったんです。だから上記試行錯誤の中で増設したドライブの中に移していたのですが…。コピーするだけでOK?C:ドライブのファイルにヒモ付きされたインデックスはC:ドライブのままじゃないの?と疑心暗鬼のまま、iTunesフォルダの中をすべて増設したHDDの中にコピーして、ライブラリファイルの切り替えをするためにShiftを押しながら起動して、K:ドライブの中のitlファイルを指定したら…。インデックスがすべてK:ドライブにヒモ付きされてる!しかも処理時間ほぼ0秒!(勿論ファイルのコピーには7時間ぐらい?かかりましたが)えー今までの苦労はなんだったのorz

ってぐらいに簡単に出来ましたとさ。おしまい。

2011/09/08

レビュー(8)

Frank Zappa
Zappa Records
発売日:1995-04-28

★★★★☆
一曲を除いて全てシンクラヴィアの自動演奏で作られた似非ジャズロック。グラミー賞も受賞した。

ジャズのモード奏法に近いコード進行だが、現代音楽の影響も感じられる新鮮なフレーズ。完全にフリー演奏のようなフレーズだが、実は自動演奏で、実際によく聞いてみると如何にもプログラミング臭い所が似非ジャズしていて面白すぎる。おそらく人間には弾けない運指だと思われる。

ザッパ作品のスリリングなソロ演奏にも負けないスリリングさ、そして似非っぽさ。なんとも魅力にあふれた一枚だと感じる。そしてザッパにしか作れない作品だと感じる。またひと味違うザッパを聞きたい人にお勧めだが、これをザッパ入門にするのもありだと思う。複雑怪奇なソロ演奏を繰り広げるけど、意外にポップな面も持ちあわせるから。

So many tears
バウンディ
発売日:2011-09-07

★★★☆☆
茂木欣一(スカパラ、フィッシュマンズ)、加藤隆志(スカパラ)、柏原譲(ポラリス)の3氏によるニューダブポップバンド、So many tearsのファースト(先行発売EPも同タイトルだけど、これはアルバムの方)。

ex-フィッシュマンズのリズム隊だけに、かなり期待してしまったのだけど、やはりヴォーカル・作曲・ギターを手がける加藤隆志の色が濃いのか。フィッシュマンズっぽい所もある(#6)けど、基本は強力なリズム隊をバックにしたジャングリッシュのダブポップといった所。ドラムスもベースも聴きどころは多いのだけど、曲自体の魅力とジャングリッシュが気になって、初回聴きでは今ひとつ馴染めない。唯一ジャムセッションぽい#8はそこそこ楽しめたけど、ポラリスの「瞬間」以上のものではないかな。

とにかくジャングリッシュはやめたほうがいいと思う。せっかく日本語が馴染みやすいダブポップをやるんだし。入れるんだったらフィッシュマンズレベルのサビだけとか、そういうJ-POPらしい形にしたほうが。

比較対象が個人的に崇拝レベルに達しているフィッシュマンズとポラリスだけに評価が厳しくなってしまうけど、多分水準(何が基準?)以上のサウンドは出していると思う。でもメンバーを考えるともう+αが欲しかった。

2011/09/07

Scuba/Triangulationの輸入制限凄かったねー


Scuba/Triangulationの輸入制限凄かったねー(エア本さん風) 1年以上前の話だからアレだけど、Amazonには一切在庫なし、HMVも入手困難てどういうことなの…(申レN)人気あるって言ってもなぁ…あっという間に入手困難になった記憶がある。日本盤が手元に無いのでディストリビューターがどこかわからない…Beat RecordsのサイトにもP-Vineのサイトにも載ってないな。ともかく「帯・解説付き国内盤仕様」にするボッタクリディストリビューターからはなるべく買わないようにしないと、というわけにもなかなか行かないのが憎っくき輸入制限。LINUS RECORDSの中の人もツイッターでよく嘆いてます。どうにかならないものかね…。

そう言えばAmazonで妙に高くてマルチバイなしでポイントが5%付く新譜ってどういう扱いなんでしょう?(例えばこれ)これもボッタクリディストリビューターが咬んでるんだろうか?ちょっとこのへんのシステムは分からないです…高いと思ったらHMVなりTowerなりで価格比較して買いましょう(輸入盤があれば)。

あ、アルバム自体の内容はテクノ+ダブステップという感じで素晴らしいです。流石HOTFLUSHの首謀者で、多くの有望ダブステミュージシャンを輩出しているだけあります。

レビュー(7)

Walls
Kompakt Germany
発売日:2010-04-27

★★☆☆☆
Kompaktらしい綺麗めテックハウスが骨格だが、ニューゲイザー的展開があったり、若干オブスキュアなパーカッション使いがあったりと、只のハウスではない。#1#7ではキックも四つ打ちでなく8ビートを刻んでいたり、#5ではギターの音が全面にフィーチャーされていたりして、もうこれはニューゲイザーに分類してしまったほうがいいかもしれないほどロックしている。その一方でKompaktらしいハウスもやっていたり、キックレスの曲があったりして、方向性が曖昧になりそうだが、統一された個性と言うか雰囲気があるので、それほど散漫な印象は受けない。

ただ、楽曲としての魅力が今ひとつな気もしたので、★2個の評価にした。ただしKompaktもニューゲイザーをやるというインパクトは感じる。

Helios
Unseen Records
発売日:2010-03-01

★★☆☆☆
Goldmund、そして本名名義でも活動しているKeith Kenniffによるエレクトロニカプロジェクト。これが5thアルバムかな?何の縁かファーストから付き合っているミュージシャンだけど、さすがに絶賛されていたセカンド辺りと違って、評価が落ち着いてきたように思う。

ブレイクビーツ/ブロークンビーツの上にやわらかなシンセのフレーズが乗るのが基本的パターン。漂うシンセによって、ジャケットのような世界、柔らかい光に包まれた動かない夕景のような世界が延々と続く。BOCよりニューエイジ寄りだが、ドラムは比較的覚醒的でいいアクセントになっている。ビートレスの曲もあり。

さすがにこの手のサウンドは飽きてきたかな。でも一定のファンを獲得していて、定着したジャンルといえるかもしれない。

Flying Saucer Attack
Vhf Records
発売日:2010-06-01

★★★★☆
VHFの看板ミュージシャン、Flying Saucer Attackの記念すべきファースト。もしもジーザス&メリーチェインがファーストの方向性のまま、ノイズギターで突き進んだら…そんな妄想を掻き立てられる音楽性。J&MCはマスコミのハイプだったと後に野田努氏だったか?明かしていたけれど(ノイズギターに反応して客が暴れ出したとNMEが書き立てたが、実際には酔っ払いが少し騒いだだけだとか)やっぱりある種の世代にはショッキングな存在だった。このFSAのファーストは、先に述べたようにJ&MCのファーストのような方向性のサウンドである。時折挟まれる呪術的なドラムスにサイケデリックなセカンドの源流を感じる。

そしてそのセカンドは、ノイズまみれのフォークが新たなサイケデリアを切り開いたとして高い評価を受けた。その源流としても非常に重要なアルバムといえる。J&MCのファーストと同様、FSAのセカンドの轟音サイケサウンドも当時は衝撃的に受け止められていた。

轟音ギターと呪術性がサイケデリアの中で出会う、例えば初期のクラウトロック(アシュ・ラ・テンペル、アモン・デュール)の中でも見られた現象。そしてイギリスのホークウィンドなどを介して、日本にもアシッド・マザーズ・テンプルという轟音サイケサウンドが伝達された。一方ではオルタナ/メタルサウンドの一部がドラッグとの親和性を求めて、ディストーションギターの反復によって呪術性を引き出し、ストーナーと呼ばれるサウンドを作り上げている。そうしたサウンドのオルタナ的展開として、このFSAも重要な地点に立つと言える。

2011/09/06

Conrad SchnitzlerのCD-R


某ショップで(敢えて名前を秘す)CONさんのCD-Rが売っているわけですが、今回4枚組および10枚組のCD-Rがカタログに載りました。一枚2100円ベースという異常な高さに買うのを躊躇っていたわけですが、リリース元のGENERATOR SOUNDという所のメールオーダーカタログを見てみますと、前者が50ドル、後者が150ドル…1ドル=80円ぐらいで換算しても、海を渡る間にほぼ倍になってるわけですね…まあ後者は27セット限定ということから、まあプレミアも致し方なしという所なんですが、それでもボッタクリすぎじゃないかと。送料は2ドルだの4ドルだのだし。830枚のCD-Rシリーズも一枚2100円なのですが、これも直で買えば半額ぐらいなのでしょうか…?こっちは国際送金しなければならないなどいろいろ手間がかかりますので、少数ずつ買いたい自分はある程度仕方ないと諦めていますが、なんだかなぁ。

La Monte Young/The Well-Tuned Piano


ツイッターで拾ったのですが、La Monte Youngの高名なThe Well-Tuned Pianoがここで無料で視聴・DLできます。Discogsなどで無茶な値段で売られている代物です。

レビュー(6)

★★★☆☆
Omar Sはデトロイト・ハウスの次世代を担うと期待されているハウスプロデューサー。Fabricシリーズにも登場済み。

このアルバム、ちょっと最初の数曲はピンとこなかった。その理由はと探ってみると、ややBPMが低すぎたせいか。サウンドは、ムーディーマンがアフロハウスとでも呼ぶべき煙たいハウス、セオ・パリッシュがもう少し綺麗めのハウスをやっているとしたら、このオマーSはややテックハウスより。BPMはデトロイトハウスらしく低めに(120前後)、テクノ的な上物もあり、ハウシーな上物も有りといったところ。かなりテクノ的に潔癖な感じ。

こういうアルバムは聞けば聞くほど味が出るので、もう少し何度かしっかり聴いてみたい。

Ezekiel Honig
Type
発売日:2011-05-10

★★★★☆
Ezekiel HonigはNYで活動する、アンビエントとIDMの中間ぐらいの独自のサウンドを発表しているミュージシャン。Kompakt系ともまた違った若干アブストラクトな音響が特徴で、曲によってはイタリアのRod Modellのようなミニマルダブ+アンビエントのようにもなるが、独自の個性を発する人物。本作はTypeからのリリースで、個人的にはやや意外な取り合わせだったが、聴いてみて納得、Typeのレーベルカラーにもマッチした作風になっている。

この人はMorgan Packardという人物とのコラボレートが名盤で、個人的にはGasにも匹敵する作品だと思っているのだけど、上物がシンセパッド/ドローン中心だったその作品と違い、このアルバムはネオクラシカルも思わせるようなピアノやギター、サンプルが上物になっている。#1、#4、#5のようにビートレスのドローン~アンビエント~ネオクラシカルな曲も収録。ややざらついたサンプル使いはTypeというレーベルカラーによく合っていると思う。#6はBPMが低く、ダウンテンポ?とも呼べる曲。今までやや安易に聞こえなくもなかった上物が、今回ずいぶん凝ったものになり、キックの刻みも四つ打ちをベースにしながら個性的で、ミュージシャンとして新たなる一歩を踏み出した感がある。

Typeと言うレーベルのファン、ネオクラシカルやミニマルダブ(アンビエント寄り)のファン、アンビエントのファンなど幅広い層に訴えかけそうな良作。

★★★★★
Afefe Ikuはコンゴ共和国のアーティストで、楽曲中のナレーションによれば「アフロキューバンハウス」とされている。アフロ色の強い(カリンバなどが使われる)、しかしデトロイトハウスのような綺麗めのシンセパッドもあったりして、独自色が強いが決して聴きづらくないアフロハウス。個人的にはかなりの愛聴盤です。これが2008年発表の唯一のアルバムで、現在は活動していないのだろうか?

2011/09/05

レビュー(5)

MOWMOW LULU GYABAN
スリーディーシステム
発売日:2009-11-11

★★★★★
2010年にニューカマーとして話題になったバンドのファースト。本気で馬鹿な事をやっているギターレス・ディスコパンク。バカバカしさも本気なら、ポップさも本気、パンキッシュなのも本気と言ったところ。演奏のテクニックはメンバー三者三様に確かなものがある。

心に響くメロディー及びキーボード、そしてディスコのリズムにシュールで変態的な歌詞が乗る。歌詞はイカレているようでシリアスな面もあったりする、同じく曲も無茶な展開をすると思ったら歌いたくなるほどポップだったりもする、こんな二面性も魅力の一つである。

ライブでは「パンティー」が連呼されるらしいw ライブではもっとパンキッシュにやっているらしい。

なるほど、世間の話題になるのも当然だと思った。

Bullet for My Valentine
Red Int / Red Ink
発売日:2010-12-21

★★★☆☆
商業メタルといえばそうなのだが、モダンな部分あり、80sな部分ありの爽やかメタル。扁桃腺の手術で前作は不調だったというヴォーカルが、今作では全く問題なしで爽やか、綺麗。コーラスワークも美しい。スロー~ミドルテンポの曲が中心なので、BGMにはいいが、逆に言えばアップテンポで否応なく興奮させられるという曲が少ないのも確かか。ジャケットもこのバンドらしくていい。

このエディションはライブDVD付き。

Cabaret Voltaire
EMI Europe Generic
発売日:2007-06-13

★★★☆☆
ファーストリリースは1981年、今ひとつ音質の悪いライブテイク集なのだが、音質が悪いのが寧ろアングラインダストリアル臭がプンプンして、良い方に働いている稀有な例。何でもSONYのウォークマンで録音されたとのこと。

リズムは打ち込みだが、ギターやエフェクト的シンセ、ヴォーカルなどの楽器は即興色の強い演奏で、キャブスの本質はライブにありとのレビューが的を射ていると思う。その中で稚拙極まりないベースの演奏は少々笑えるが、バランス的にはこれがいいようにも思う。初期のキャブスのサウンドの真髄が伺える好盤。

Drums Off Chaos,Jens Uwe Beyer (Popnoname)
Magazine
発売日:2011-02-26

★★★★☆
Jaki Liebezeit(ex-CAN)が80年代に結成していたというDrums Off Chaosが、Popnoname名義で活動するJens-Uwe BeyerとのコラボレートとしてKompaktのサブレーベルにて復活。個人的に愛聴盤だったClub Off Chaosの源流がこんなバンドにあったんですね…この名義でのリリースは初。

ポエトリーリーディングやレゲエとの融合?Phantom Band、テクノとの融合Club Off Chaos、エレクトロニカとの融合Burnt Friedman & Jaki Liebezeitと様々な挑戦を続けてきたLiebezeit。今回はミニマル/呪術的トランス(トランステクノではなく、本来の意味での)に挑戦している。ひたすらトライバルでミニマルなフレーズを叩き出すドラムスやパーカッションに、シンセパッドやサンプルが乗るディープな内容。Meditationsで扱ってるのも納得w

Liebezeitのドラムはいつもの通りなので、トライバルでありながらファンキーさは全く無く、似非エスノ感がプンプン漂うドラミング。流石ex-CAN(名高いE.F.S.=贋作エスノシリーズという曲を作っていた)なだけある。と言うことで、Meditationsに(ネットにせよ、リアルにせよ)足繁く通う方、そしてCANやLiebezeitのファンには文句なくおすすめ。

2011/09/04

レビュー(4)

★★★★☆
FabricシリーズにSurgeon登場。入手困難になるのを恐れていたけど普通に流通してました。思ったよりもハードミニマル一辺倒ではないものの、ミックスCDならではリスニングも意識した短く繋げていくサービス精神旺盛な一枚。ital TekやStarkeyなんかが収録されているのも今時ならでは。単純な四つ打ち一本槍でないのは多少好みが別れるか。

聴きどころは#4-5、#9、#10、#16、#20辺り。やっぱり所々で挟まれる本人の曲が活き活きしてる気がする。

Surgeon
Dynamic Tension Records
発売日:2011-05-31

★★★★☆
Surgeon、11年ぶりのオリジナルアルバム。ハードミニマル一辺倒ではなく、意外性の高いトラックが多い。どちらかと言うとリスニング用だと思う。

#1はリーディングトラック。#2はスペーシーでジェフ・ミルズのような曲が何とミニマルダブになる。#3は引き続きダブ調で、BPM低めのダブステップ?のようなリズム。#4はダビーな空間の中、エレクトロ(ヒップホップ)が展開される。どろどろの重低音ベースも特徴。#5はムスリムガーゼが多用するグリッチ?から始まる(ブチッ、ブチッという奴)。それが普通のキック音になったり変調したりディレイを掛けられたりして、シンバルと絡むだけで一曲終わり。#6もエラくBPMが低く、重低音のベース。弦楽器(琴のようなアコギのようなハープのような…)の音が上物。キックレスの一曲。#7は5分41秒のドローン作品。#8は待望のハードミニマル。マーチのリズムのキックで、BPMは低め、音数は少なめだが鼓膜を蹂躙する音圧が凶悪。#9はなんとフィールドレコーディングから始まり、ドローンで終わる。

Ricardo Villalobos
Fabric
発売日:2007-09-08

★★★★★
まずヴォリュームを目一杯上げてください。でないとキックが聞き取れずサウンドバランスが悪いw

リカルド・ヴィラロボス充実のミックス。全て本人または本人が関わるマテリアルのみで構成されているので、相性は抜群。ヴィラロボス入門としても最適。ミニマルでクリックなハウスサウンド、カラフルなパーカッション、ストレンジなサンプル使いと彼の良い所が詰まっている。万人におすすめ。

2011/09/03

James Blake

今日はレコードの針を変えたこと、Amazonで頼んだJames Blakeのアナログが大量に届いたことから、アナログを聴きまくってました。レビューは書こうか迷っているけど、書くほどの情報量がない…。

プレイヤーはAT-PL30というベルトローディングの聴ければいいという超安物…でも値段の割に音がいいと評判です。今でも後継機種が売ってますね。



針はカートリッジと一体型のこれ。



針を変えた効果は…分かるような分からないような^^;でもやっぱりヴァイナルは音質いいと思いますね。完全主観なんですが。

James Blakeはハイプだのポスト・ダブステップだのと喧々囂々ありますが、やっぱりサウンドとして魅力あるのは否定しがたい気分になってきました。もう散々言われてますが、ダブステップ+ブルー・アイド・ソウルという新ジャンルを開拓したのは間違いないかと。ただ、ポスト・ダブステップたるダブステップ+何かは既に様々登場しているんですね。メタル(のギター)+ダブステップのメタルステップ/メタルダブステップのこいつとか。



他にもノイズ+ダブステップのノイズステップ/ノイズダブステップとか。昔からDistanceみたいなエレクトロニカとのクロスオーバーもありました。



その他にはここが詳しいと思います。何がポストの主流になるかというより、ダブステップの意味の拡大が起こり、その流れがポスト・ダブステップと呼ばれているのではないかと。だからJames Blakeがポストダブステップの今後の流れを決定づけたかと言われると、うーん…という感じなんですね。James Blakeのアルバムはあくまでもポストダブステップの方向性の一つでしか無いと考えています。

特にポストダブステップと呼ばれているサウンドで気になっているのは、James Blakeのシングルレビューに書きましたが、リズム面での工夫をおろそかにしている盤が多いということですね。元々グライムや2ステップから魅力的でヒップなリズムパターンを引き継いでいるのに、例えば1拍目にキック、3拍目にスネアでBPMを100近くに落としてはいダブステップ(風)リズム、みたいな曲が結構多い。James Blakeは隙間の多い曲構造にすることで、ギリギリの所でその愚を回避している感があります。Gold Pandaとかは…です。確かにワブルベースは飽き飽きだし(ってどちらが先かはともかく、ワブルベース自体は2ステップでも使われますが)、形式だけをなぞったダブステップにならずまいとして色々リズムパターンを試すのは面白いと思うのですが、余りにも安直なのが多いんですね、ポストダブステップ勢には。

ちょっと取り留めなくなってしまいましたが、ダブステップ/ポストダブステップの今後に期待をしています。James Blakeの新譜が10月に早くも出ますがここも参照)、そこにシングル曲(CMYKとか)は収められるのかな?


レビュー(3)

evala
port
発売日:2010-03-03

★★☆☆☆
2010年作。クリック&グリッチ~テクノイズ系。最近のAlva Noto、一時期の池田亮司、在りし日のPan sonicと近いサウンドを挙げればその辺り。正直この手のサウンドは新奇性以外にどう評価したらいいのか分からないのだけれども、こういったサウンドはとかくミニマルな方向に行きがちな中(Sndも池田亮司もクラークもミニマルになった)、リチャード・ディヴァインや初期クラーク(クリス・クラーク時代)を思わせる複雑な展開をするのが特徴か。多くのミュージシャンの名を挙げたけれども、evala氏も結構古参だったりして(さすがにゼロ年代だが…)多くの作品を発表し、世間的にも評価されているので、独自の地位を確立していると言えるでしょう。

近年はピアノ作品を解体再構築するなど、Alva Notoと同じくやはり単なるクリック&グリッチだけではない方向に進んでいるのは宜なるかな。個人的には、こういう人はプロセスを明確にするか、コラボレーションしてこそナンボだと思っているので。ホントは古めかしさに★1つにしようと思ったけど、今後の展開への期待を込めて★2つ。

Allhelluja
Scarlet
発売日:2005-05-24

★★☆☆☆
ジャケ買いwしたイタリアンストーナー。メタルコアチックなヴォーカルが特徴で、ストーナーとしては比較的メタリックに聞こえる。とは言え、ドラムスやギターの音色、フレーズは一般的なストーナーを覆すほどではない。モクモクモクモクした機能的サウンド。

LisM
GEEE
発売日:2010-03-10

★★★★☆
Go Hiyamaとしてミニマルテクノの方面で活動する人物のエレクトロニカ名義がLisM。先にレビューしたGradationと2010年同時に発売されたアルバム。ここではドラムスやアコースティックギター、ピアノ(生演奏か打ち込みかは不明)を用いたフォークトロニカ路線を取っている。どちらのアルバムもよくある和製エレクトロニカ路線なので、もう個人的な好みでしか語れないが、ドラムスが入ったことで腰の座ったサウンドになっていて、全体的にGradationよりずっと心地良いい。

あまりこの方面のエレクトロニカを聴き慣れない人でも、スッと入れそうな分かりやすいサウンドを奏でている。もう少し生楽器主体になると、Morrのようなインディートロニカ/インディーロックになってしまうのだが(フォークトロニカとジャンルとして何が違うのかと問われると困るけど)、あくまでもフワフワ、チラチラしたシンセサウンドが主体のところにバランスの良さも感じる良盤。

Plastikman
Minus
発売日:2011-09-05

★★★★★
事前のインフォメーションと違い、CD15枚+DVD1枚という大容量で発売された待望のBOX。Sheet One (Disc 1)、Recycled Plastik (Disc 2)、Musik (Disc 3)、Artifakts(BC) (Disc 4)、Consumed (Disc 5)、Closer (Disc 6)のリマスター+ボーナストラック、ジョン・ピール・セッションの音源を収録したSessions (Disc 7)、12インチの音源をまとめたNostalgik (Disc 8)、Plastikman名義の様々なリミックスワークを収録したRekonstruktions I及びII (Disc 9、10)、セッション及び初期音源を纏めたArkive Mix、Arkived (Disc 11、12)、Plastikmanの楽曲の様々なミュージシャンによるリミックスを収録した(このBOXのためのミックスあり)Replikants I、II (Disc 13、Disc 14)、完全未発表音源集と思われるExtakts (Disc 15)、及び資料や映像集のDVDの16枚組。

どのトラックも即戦力としてDJセットに組み込めそうな強力16枚組。超お薦め!

2011/09/02

レビュー(2)

Venetian Snares
Sublight
発売日:2005-10-25

Last Step名義ではやや迷走がみられるものの、もうこの人アーロン・ファンクの作るヴェネチアン・スネアズ名義は極初期を除いてホント変わらない。確かにファンクを取り入れたりクラシックを取り入れたりしたアルバムもあるのだが、アウトプットの感触は全く変わらないのだ。2005年作だがいつの盤だと書いても納得してしまう内容。2005年というと傑作Meathole(ジャケも傑作)が発表された年で、その裏で発表されたこのアルバムも過激さはやや劣るものの、まっっっっっっったく変わってない。やや4つ打ち(というか一定のリズム)を意識した曲が多いか?静と動の対比を意識した曲があるか?ルーク・ヴァイバートのようなヴォイスサンプリングが主役だろうか?いや気のせいかなぁw

#8はヴェネチアン・スネアズ流ドラムンベース、#9はハーシュノイズ作品になっている。ハーシュノイズといえば、Merzbowとはコラボレーションしないのだろうか?興味深い作品ができそうだが。近い界隈ではアレク・エンパイアとMerzbowのコラボレートは存在している。

Dead Raven Choir
Aurora Borealis
発売日:2008-02-05

まるでテープで配布されてる極北アングラブラックメタルのようなアンダーグラウンド感。こんなCDがアマゾンで手に入ってしまうから面白い。

ドラムレスで、基本的にゴリゴリの轟音ディストーションギター、ストリングス(ヴィオラ?)、派手にリヴァーヴの掛かったデスヴォイスの3つの音だけで構成されている(一部にパーカッションも使用される)。ドラムレスなのである意味フォーキーでありながら、轟音ギターマニアにもアピールしそうなサウンド。とにかく陰鬱な曲調で、呪詛を吐くデスヴォイスがアングラメタルの極北であることを主張している。でありながら、#5のようにある意味ポップ?な曲もあるのが面白い。

このようなサウンドの系統には、ダークアンビエント/ドローンメタルに近付いたようなサウンドは聴いたことがあったが、このようにフォーキーな感触を残すものは初めて。ブラックメタル愛好家でもこの極北感はなかなか受け入れがたいのでは?むしろアングラミュージックを好むリスナーに受けそう。

Motor City Drum Ensemble
Faces
発売日:2010-03-25

★★★★★
もう最初の音を聞いた時からテンション上がりまくり。こういう渋めのアフロハウス/ディープハウスは大好き。しかし本場のデトロイトブラックが作っているわけではないし、若干クリシェっぽいところもあるのだが、そこを寧ろ強みにしていけばいいと思う。例えば#2に入っているスラップベースやソウルっぽい展開は如何にクリシェっぽくて、でも格好良くて、いい雰囲気を醸し出している。今ひとつデトロイト勢と比べると煙たさは薄れるが、その代わり爽やかでどんな雰囲気でもフィットして聞け(掛けれ)そう。

首謀者のDanilo Plessowは他にも様々な方向性のプロジェクトを手掛けているそうで、それらも聴いてみたい。

そっくりジャケ


Nutron/Spectra
J.D. Emmanuel/Winzards

いつ見ても似てるなぁと思う。