2011/09/30

レビュー(18)

★★★★☆
また人力テクノ(完全に死語)バンド発掘。ニューキャッスル出身の4人組で、どうやらバンド名は日本語の「もしもし」から来ているよう。

ひたすらブレイクビーツを刻み続けるドラムスに、シンセやギター、ヴォイス等の上物が被さる。使い方によってはダンスミュージックとして機能しそうで、人力ブレイクビーツ+ダンスという意外と無かった方向性が無闇に格好いい。The Rootsみたいな生楽器ヒップホップ、いやRovoのファンなどにアピールできるかな?という感じのサウンド。

一応ブクログではdance rockという新しいジャンルで分類してみた。本当に分類不可能の異質なバンドで、機会があれば是非聴いて欲しいが、CDは入手困難くさいのが残念…。

2011/09/29

レビュー(17)

★★★☆☆
Neo Ouijaってまだ活動していたのか・・・という感じの2010年作、Luca Cancielloというイタリア・ナポリ在住のマルチインストゥルメンタリストによるソロプロジェクト。

基本的にはこの界隈らしいブロークンビートに上物が絡むスタイルで、#6のようにスポークン・ワードが、#7のようにギターとベースらしきサンドが被さったりする。今更新しい手法でもないが、生っぽいスネアの音色にキックが硬くて重く、ブロークンビートによく合っているので、リズム面はなかなかタイトで創造的かつ魅力的。恐らく生ドラムだけでなく、様々な楽器をカットアップすることによって楽曲を構成しているものと思われる。

エレクトロニカ好きなら聴いて損はないのでは。ミル・プラトーが復活し活発に活動している今、Neo Ouijaが復活するのも悪く無い話。

Heaven and
Staubgold Germany
発売日:2010-05-11

★★★☆☆
Martin Siewert(efzeg、Trapist)、Tony Back(The Necks)、フェネスとの活動経験があるZeitblom、Steven Heather(efzeg)というニュージャズ系/電子音響ジャズオールスターとも言えるカルテットの2nd。ファーストも結構話題になりました。ただ、ここではお互いの音楽的ルーツを探るサウンドということで、あまりジャズ的色彩はなく、呪術的とも言える一種独特のサウンドを発している。

本人達はブードゥー的と言っているそうだが、確かに呪術的パーカッションをダビーなベースに乗せ、ギターとヴァイオリン?が異国情緒を描き出す#1、リズムがドラムマシン(エレドラかも)になる以外は#1と雰囲気が似ている#2、エレクトロニクスが全くエスノを感じない異質な空間を作り出している#3、ブルースギターの響く#4、ビートレスでハーモニカ、ギター、エレクトロニクスと主役がコロコロ変わる構造はフリージャズ的な、でもジャズ的触感は全く無い#5、このアルバムの中では比較的元気でポストロック/ポストジャズ的な、しかし独特のドラムスで徐々にリズムがずれてくる#6とどの曲も独特の世界を描き出している。

基本的にはメンバーに惹かれるポストジャズ/電子音響ジャズファンにアピールするサウンドだが、モノトーンのサイケデリックと表現したくなるようなフリーキーながら抑制の効いた出来になっており、実験的音楽を聞くリスナー全方位的に聴かれても良いサウンドだと思う。

Heaven And
Staubgold Germany
発売日:2008-05-27

★★★☆☆
2ndをレビューしたので1stも。メンバーは2ndと同じMartin Siewert(efzeg、Trapist)、Tony Back(The Necks)、フェネスとの活動経験があるZeitblom、Steven Heather(efzeg)の4人組。1stと同じドイツstaubgoldからのリリース。#2#5ではアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのAlexander Hackeがヴォーカルとして参加している。

どの曲も作曲された部分とフリーの部分が混在していると思われる。そしてニュージャズ界隈の人脈でフリー演奏もあるにもかかわらず、抑制されて大人しく聴こえる。この感覚は、SiewertのTrapistや関連プロジェクトRadianとよく似ている。この2バンドは基本的にフリーな演奏であっても、ひどく抑制されたもので、且つポストプロダクションが加えられ異形の電子音響ジャズと化している怪盤をリリースしている。ということで、このプロジェクトもSiewertが主導的役割を担っているのではないかと思われる。

#1は導入部を思わせるドラムスにシンセ?ドローン/パッドと大人しいギターが乗る。#2が件のヴォーカル曲で、ドロドロに融け合いモゴモゴしたサウンドからトライバルなドラムスに変化するバッキングに、独唱のようなヴォーカルが乗る。一応ラブソングなんだろうか?タイトル通り女性のことを歌っている。#3はやはりトライバルなドラムスに、呪術的に聴こえるギターの長弾きソロが乗る。比較的派手な曲。#4は作曲された短い曲。#5もヴォーカル曲。今度はある程度バッキングも声に合わせて演奏する。序盤のマーチングドラムのような演奏、そして次第にメタリックになり悲鳴を上げるギターが印象的。#6は恐らく骨格だけ決めてある、二本のギターとベース・ドラムスによる大人しめなインプロヴィゼーション。#7も#6とよく似た雰囲気。マレット系?の音がゆっくり連打され、それに合わせて抑制的な演奏が行われるが、後半はだんだん激しくなっていく。#8も似た雰囲気だが作曲された部分が多い。ブルージーなギターと徐々に空間を支配してゆく電子ノイズが印象的。#9もブルージーな短い曲。

やや気になるのはエンジニアリングで、なんというかステレオ感に薄くローファイに聴こえる。そして2ndに比べて比較的派手な印象がある。ただ自由度は2ndのほうが上か。Radian/Trapist周辺は興味深いサウンドで、もっと探ってみたい。Siewertもソロやコラボレーション作を発表している。

2011/09/27

レビュー(16)

KAYO DOT
HYDRAHEAD
発売日:2010-05-31

★★☆☆☆
日系人の女性ヴァイオリニストを含むボストンの8人組。ポストロック~ポストメタルに分類される音楽性だが、世間の扱いはちょっと良く分からない。しかし曲によってはホーン隊もゲストに迎えていて、古色蒼然とした雰囲気はポストロックより何世代も前…プログレのように聴こえる。プログレでもキング・クリムゾンのようにメタリックなバンドは存在しているし。gybe!に比較されているらしいが、確かに暗い雰囲気とヴァイオリンの導入は似ているものの、ああいったポストロックのビルドアップによる轟音ギター路線とは、また一線を画しているように思う。例えば#3のファズギターとヴァイオリン・ホーン隊の絡みはかなりプログレっぽい。

現代に蘇ったプログレとして、Zombiと共に興味深い存在ではある。

2011/09/26

レビュー(15)

MY DISCO
JUNK LAB RECORDS
発売日:2008-10-11

★★★★☆
Battlesが初期EPのまま進化したら…あるいはドンキャバとBattlesが融合したら…そんな(つまらない)妄想を抱かせてくれるオージーマスロックのファーストのベストテイク+セカンドのカップリング日本盤(ジャケットがファーストともセカンドとも違うので注意)。ファーストとセカンドは別々でもAmazonで買えます。セカンドはアルビニプロデュース。セカンド発表時はBoomkat辺りでも話題になりました。

まずはとにかくミニマル・ミニマル・ミニマル。ヴォーカルも少し入っているのですが、ヴォーカルまでミニマル。2~4小節ぐらいのフレーズをミニマルに繰り返し、ビルドドアップ・ビルドダウンで基本的に曲展開していく。そして時々変拍子を使いマスロック。#6のようにギターソロが入るところもあり、ここはミニマルではないんだけど、何処か特徴的で人を舐めたようなフレージングになっている。まさに死語だけど人力テクノ。でも四つ打ちじゃない、ロックでしかできないドラムパターン。ハードコアの要素も所々で感じ(特にヴォーカルが入るところに)、変拍子+ミニマル+ハードコアというマスロックのど真ん中をいく音楽性である。

とにかく独特の音楽性で彼らにしかやれないサウンドなので、百見は一聴に如かず、マスロック好きは聴いてみるべし。

2011/09/24

レビュー(14)

Trans Am
Thrill Jockey
発売日:2010-04-20

★★★☆☆
トータスと同時期からスリル・ジョッキーで活動していた(マッケンタイアプロデュース盤あり)ロングキャリアなトリオの2010年作。

彼らというとアルバム「TA」でニューウェーヴのパロディをやっていたりして、シカゴ音響派/ポストロックの例に漏れずハードコア出身らしいが、比較的コアなポストロック界隈ではユーモラスなイメージがある。

このアルバムでも例えば#6で激しいギターソロ+ドラムス連打をしていても、何処かクリシェと言うかフェイクっぽく、裏で鳴っているスペイシーなシンセが演者と曲との「距離感」を演出しているのが良い。1分程度のブリッジになる小曲が収められていて、ここでもフェイクっぽい姿が見られる。基本的にこのレガシーな音色のシンセが主役で、大雑把に言えばステレオラブ+トータスと言う感じ。ドラムスは豪快で音取りもよく、ドラムスにかぎらず全体的にクラウトロックを意識している感じがする。

彼らの過去作は数枚持っているだけなのだけど(これが9thかな?)、他の盤にも興味が出てくる良盤。

2011/09/20

レコードクリーニング液の自作


上の湿式レコードクリーナーを買ったのですが、クリーニング液がめっぽう高いので、色々なブログや友達の情報を参考に自作してみました。材料はコンタクトレンズ洗浄用の精製水400ml、消毒用の無水エタノール100ml、写真のフィルム関係で使う界面活性剤ドライウェル約5滴です。界面活性剤ドライウェルはレコードの静電気を抑える効果があるので加えます。後は百均でストロー、色々な大きさの漏斗、ミネラルウォーターのペットボトル(の空き容器)を用意しました。




無水エタノールも精製水も薬局で売っていますが、前者はAmazonで買ったほうが安いかな。うちの近くの薬局だと1800円もしました。精製水は薬局で500ml入りが100円以下で買えますので調達してきましょう。ドライウェルはカメラ屋などにも売っているようですが、このリンクのヨドバシカメラが今送料無料で安く売っているのでお勧めです。一瓶買えばほぼ半永久的に使える量(200ml)が手に入りますし。

次にミネラルウォーターのペットボトルを混合容器に使います。(密封できる蓋が付いた綺麗な容器なら何でもOKです)。だいたい満杯がどれくらいか見て、中身を開け(口をつけて飲まないようにw、レコードクリーナー液として使わないようにw)はかりに乗せて、精製水を400gになるまで注ぎ、更に満杯になるまで無水エタノールを約100ml注ぎます。ドライウェルはストローを使って、ピペットのようにドライウェルの中に突っ込んで、ストローの端を押さえ、そのまま引き上げて先ほどのペットボトルの液の中にポタポタ垂らしていけばOK。それでペットボトルのふたを閉めて振ってよく混ぜれば出来上がり。少しエタノールと水を混合したことによる熱が発生しますが、たいしたことないので驚かないように。ただ、ペットボトルのふたを開けるときは吹き零れないように気をつけましょうって、多少こぼれてもいいのですが。

後はクリーニングブラシに垂らすのに都合のいい容器に、漏斗を使って移し変えればお終い。上のクリーナーについてきたクリーニング液の容器で十分ですが、精製水もコンタクトレンズ用だと容器の構造が少しずつ滴下できるようになっているので、開いた精製水の容器を使うのも手です。エタノールも水もドライウェルも、ネット上に載っている経験則による値で、ホント適当でいいので自分なりに加減してみるのもいいと思います。

今後はドライウェルの量を増やしてみたり(ほんの少しずつしか使わないので、もう少し…10滴ぐらいぶち込んでもOKだそうです)、無水エタノールの代わりに圧倒的に安い消毒用エタノールを使ってみたりしようかと思います。無水エタノールは酒税がかかるので高いのです。消毒用エタノールはエタノールの濃度が80%ぐらいで、イソプロパノールなどが混ざっているので酒税が掛からないから安い…筈です。また、最初から無水エタノールの代わりにイソプロパノールを使っている例もネット上では見かけますね。手に入るならそれでもいいと思います。要は皮脂を溶かし、レコードを溶かさず、乾燥が早くなる液体なら何でもいいので。

上にあるレコードクリーナーだと、ブラシの取っ手側から垂らすとブラシ部分のベルベットが適度な湿り気になる…とかいう使い方なんですけど、もう液が大量にあるしベルベットが湿るのに時間が掛かって面倒なので、ブラシ側に直接ぶっかけて使ってます。盤は最初びしょびしょになりますが、すぐに乾きますし。ただしこの方法だと一振りの滴下でレコード2枚ぐらいを拭くのが限界です。

ベルベットブラシの代わりに化学実験用の拭きとりクロス・ベンコット(やその類似品)を使う方法もありますが、ランニングコストがかかるので検討を要します。この場合、クリーニング液はスプレーボトルを使って吹き付けると拭き取りやすいそうです。


個人的には方向性ベルベットブラシで十分だと思いますね。早速作ったクリーニング液で拭き取ったレコードを聞いてみたところ、無音部分のプチノイズ(スクラッチノイズ)がかなり軽減され、ほとんど聞こえなくなりました。

あ、ベルベットブラシはちゃんと湿式用のを使ったほうが無難だと思います。乾式クリーニングブラシだとブラシにダメージが行く可能性がありますから。

(スペシャルサンクス:S.K.兄貴)

2011/09/17

レビュー(13)

★★★★☆
オルークの2002年の名盤のボーナスディスク付き再編集/再発。

元々アルバムに含まれていた部分(Disc 1)は素晴らしい。#1はチラチラと蠢き、飛び廻る透明感のある電子音のミニマルな展開。#2からはそれに楽器音やサンプルがあくまでもミニマルな装いを残したまま加わる。フォークトロニカの名盤、Greg Davis/ArborやDot Tape Dotの諸作のような感じ。あるいは日本のフォークトロニカの金字塔、SoraのRe.sortまでも思い起こす。2002年だからこれらより前~ほぼ同時期。その後この手のサウンドはある程度興隆を見せるのだけど、未だにこのアルバムのサウンドは色あせていないように感じる。#3は弦楽器を中心とした楽器音などが浮かんでは消えてゆく静謐な曲。Terminal Pharmacyのコラージュ感覚を聴き易くしたようで素晴らしい。

問題はDisc 2。ボーナスディスクとして加えられた部分だが、正直言って余分だった。方向性の違う実験的サウンド。ちょうど最近リリースされたOld Newsシリーズのよう(同時期のライブの編集だろうか?)。Disc 1にTerminal Pharmacyを聴き易くした、と書いたけど、これはそのままと言うか。Disc 1と方向性がかなり違うので(手法は近いのだろうけど)カップリングする意図が見えない。無調で実験的、Disc 1とはまた違った静かで不穏なサウンドが流れる。

所詮はボーナスディスクか。Disc 1だけなら★5だけど、Disc 2の分-1した。旧譜を持っている方ならそれで十分。